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震災の対策と心構え

能登半島地震で影響を受けた方々の一日でも早い復興をお祈り申し上げます。

佐藤建設株式会社の佐藤です。宮崎市在中の⼤⼯でもあります。

私が今⽇お話ししたいことは、2011年に発⽣した東⽇本⼤震災のボランティア活動を⾏った際に経験した事をお話します。

天災地変とは世界中の⼈間が向き合う事でもあり、いつどんな時に起きるかわかりません。
何も起きなかったら、とてもありがたい事なんですがそうもいかないのが現状のようです。
今⽇私がお話しすることを聞いていただいて、参考にし実践できるようになっていただけるとありがたいです。

では私がなぜ東⽇本⼤震災のボランティア活動を⾏うことになったのか?という事からお話します。
私は⼤⼯⾒習から職⼈になり⼤⼯の棟梁になりました。そして今は建設会社の経営をしています。

わたしは建築について色々と勉強に東京へ行く事も多くなり
⽇本全国に建設会社の社長さんたちと面識ができました。

震災が発⽣した時に、知⼈の建設会社の社⻑に連絡をしました。

 

佐藤 「震災⼤丈夫ですか?何かお⼿伝いできることがあったら遠慮なく⾔ってくださいね! 募⾦とかお送りしましょうか?」

被災側「お⾦を送っても引き出しできる銀⾏もATMもない!

佐藤さんが使っている⽑布を送ってください。」

佐藤 「⽑布ですか・・・? 防寒着とかも準備しましょうか?」

被災側「・・・・防寒着などはあります。ご遺体に掛ける⽑布が欲しいのです!」

私は、とんでもないことが起きていることに絶句しました。

被災して1週間以内くらいだったので、道路端に沢⼭のご遺体があり⼦供たちに⾒せたくないから ⽑布を掛けてあげたいので、⽑布や布団を送ってもらいたいと頼まれたのです。

それから私にできることは⽑布を送る事だけなのか・・・・何か他にできないのか・・・ ⾊んな情報が拡散され ⾏政も何をすれば良いのか混乱の中

私は、考える暇もなく宮崎県内で支援物資を収集することに決めて
「⽀援物資を集めて被災地へ送ろう」ということを呼びかけました。

 

 

宮崎県内でも今まで色んな災害が起こりました。

2010年 家畜の口蹄疫
沢山の家畜が殺処分されました

 

2011年1月26日 新燃岳の噴火
農作物が火山灰により影響を受けました。

2017年 鳥インフルエンザ
宮崎は地鶏が有名でしたが大量に殺処分されました。

その宮崎を盛り上げようと沢山の観光客を元東国原知事が
観光客を宮崎に招待し活性化したのです。

宮崎も沢山の日本の方に助けられましたので
恩返しはしないといけません。

支援物資は想像以上に集まり沢山の方々が
佐藤建設の事務所まで届けてくれました。

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私は宮崎空港に連絡して支援物資の送料は募金で集まったお金でお支払いするつもりでした。

しかし被災地の空路が機能していない為送ることができない事が判明。

配送⼿段が無かったためトラックを準備して陸路で30時間かけて宮城県に搬送しました。

その後も何回も往復し畳・選挙看板など⾊々なものを届けました。

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現地では私もボランティア活動を行い大工としてできる事を優先して取り組みましたが 被災地は大変なことになっておりボランティア活動をどのようにしていけば良いのか?

わからない事だらけでした。

能登半島地震でも同じようなことが起こっていると思います。

何が起こっているのか?
・被災した場合の対処法が全員わからない
・被災した方々が防災グッズを持っていない。
・連絡手段が限られる。
・地域のネットワークができていない。
・行政と一般人同士の連絡が取りにくい。
・電話対応が多すぎて大変すぎる。
・情報が拡散している。
・行政の方も被災している中対応している。
・行政の方も精神的なダメージが大きくなる。
・不眠不休で対応している。
・被災した一般の方々もボランティア活動をしている。
・被災した方なのかボランティアの方なのかわからない。
・素人のボランティアをまとめる人が少ない。
・活動の指示ができる方が少ない。
・ボランティアを営利目的で活動している人がいる。
・被災地の画像・動画などが拡散される。
・ボランティアと称し、詐欺工事が多発している。
・一般ボランティアが精神的にダメージを受ける。
・被災地での様々な判断基準がない。
・支援物資がいきわたっていない。
・支援物資の仕分けが大変である。
・使わない支援物資がゴミになっている。
・支援物資倉庫内の窃盗・盗難が相次いでいる。
・被災者からの要求レベルが上がり対応が困難になる。
・被災者からの罵声でボランティアの方が精神的ダメージを受ける。

まだまだありますが、私の中で感じた事です。

今後どのようにすれば良いのか検討が必要なことについて私の考えを記載します。

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【震災が起こっていない地域の方へ準備事項について】
・避難時の注意事項について
・自宅に最小限必要なものについて
・近隣の呼びかけの仕方について
・避難訓練の必要性について
・避難経路について
・地域で行える連携・連絡手段について

【被災地への支援物資の送り方やボランティア活動の注意喚起】
・支援物資の送り方について
・支援物資の受け取り方ついて
・支援物資の仕分け方について
・支援物資の配布の順番について
・被災地で絶対してはいけない事について
・被災した方に言ってはいけない言葉について
・被災地の方とのコミュニケーションの取り方について
・ボランティアに行く人の食事の取り方について
・ボランティアの受け入れ態勢について

【今後必要な対策や課題】
・電話オペレーターとの連携について
・専門ボランティアによるバックアップについて
・建設会社との連携について
・災害時マニュアルの共有について
・ボランティアマニュアル作成について
・災害時協力できる企業とのネットワーク作りについて

一般の方々に対して協力要請ではなく教育を取り入れる

震災が起きた場合は地域の協力体制が必須です。
自衛隊の方々は人命救助を優先して頂き
地元の方々は行政との協力体制を強化する。

震災が発生した場合の分担作業】

一般人の支援物資送り先を被災地以外の特定にする。直接被災地に送ることは混乱を招き復興・復旧の妨げになるため、事前に被災が起きた場合の都道府県ネットワークをそれぞれ構築する。隣町、隣の県、混乱が起こっていない地域を特定し、支援物資などの引き受け体制を整える。支援物資の仕分け作業をボランティア活動を募り配送準備を行う。順次必要な物資を配送できる準備まですることが一般人のボランティア活動と定義づける。

【地域ごとの避難訓練及び協力体制の強化】
災害時避難場所への誘導・避難場所に適した建物選定、物資収集箇所の選定しておく。避難訓練だけでなく、支援物資の仕分け方・送り方・引き受け体制をルール化する。災害が発生した場合には一般の方々に呼びかけ、瞬時に物資が集まるようにして、配送は専門業者に依頼し一般人が被災地にいく事での渋滞緩和を呼びかける。一般の方々の支援物資の配送は〇〇〇〇が無料集荷、無料配送できることが理想である。配送する支援物資の選び方・明記の仕方・段ボールの選び方などなど内容物がバラバラになっていると被災地での仕分けに支障をきたす事と全て産廃処分になる事を避ける。

【行政と一般人の連絡手段】
被災地は混乱を起きている中で、被災した行政職員が対応している。精神的なダメージがある中でも的確に判断をしないといけない。電話のオペレーター会社と連携を行い、情報収集をまとめて的確な伝達ができるようにできる事が理想である。行政支援として混乱を招いていない県から臨時で職員が沢山駆け付けられる体制ができると被災地の行政職員の疲労も軽減できる。

【建設業者の被災時登録体制】
土木業者の被災時登録義務化
被災が起こっても公共工事は隣町で工事は進行しています。行政から期日が定められていると思いますが一旦作業を止めて重機(ユンボ・トラック)などを土木会社はすぐに準備して駆け付けられる体制を整える。震災が起こってから対応業者を探す無駄な時間が軽減されます。公共工事の入札時に協力体制の義務化など取り入れ、工事を停止させることも行政の理解が必要不可欠です。

          建設業者の被災時登録義務化
建設会社は建物を作る専門会社です。仮設住宅は1か月後などに着工できます。それは別として仮設物を早急に作ることが可能です。支援物資を貯蔵できる仮設足場による倉庫などを造ることにより避難所に支援物資があふれかえることが無くなります。足場で建物を作りブルーシートなどで屋根を造ることは足場業者であれば1~2日で完成します。
そこに物資を集め分配できるように車両も入るようにし積み込み・配送も容易にできる仮設場所の提供を依頼します。1~2カ月で仮設物を撤去撤収することができる建設会社との連携が不可欠です。

【一般人向け支援物資専用折り畳み透明ボックス制作】
支援物資を送られた被災地での大変な作業は仕分けです。マニュアルは作成できてもかなりの量になり配布する順番も考えないといけません。順番は中古から新品の順番で配布します。詳しくは説明しますが、一般の方々が常時自宅に保管でき箱一つ物資を送るシステムができると良いと思います。中身を限定する事が大切です。トイレットペーパー・タオルなど一種類にまとめる事、中身は透明な箱なので目視できる。段ボールは中身を確認する為開封してしまいます。透明な箱は一般の方々の支援物資だという事が目視でき〇〇〇〇の配送業者も中身を確認できる為、無料配送の対象であることがわかります。

【ボランティア活動の専門性を確認する】
私は大工が職業でボランティア活動に行った時の役割分担は支援物資の仕分け作業でした。子供服の仕分け作業です。一生懸命お手伝いしましたがサイズはわからない、何歳用かわからない、男女性別の見分けもわかりませんでした。もちろん膨大な時間がかかり作業が進まない経験でした。

【一人一人に合った作業内容を作成する】
色んな職業に携わった方々がボランティアとして参加します。職種によって番号を作り分担できると良いと思いました。なんでも手伝いますという方用の番号ゼッケンを作り全て色分けを行うと依頼しやすくなるでしょう。被災された方もボランティア活動に参加されることもあるので、デリケートな対応が不可欠です。

【専門の作業リーダーを決める】
専門のリーダーを決めグループ内での説明のマニュアルが事前にあると良いと思います。
経験が長い方短い方など様々な方がリーダーになりますので、統一されたマニュアルが必要不可欠です。

まだまだ検討した方が良い事や早い復興の計画が沢山あると思います。
私は大工なので建築の事しかわかりませんが、その他専門の方々の支援が広まって災害が起きても、今までの教訓を生かし、少しでも早い復興ができる日本になれることを願っています。

               佐藤建設株式会社
代表取締役社長 佐藤光輝