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世界展示会 工場視察

中国 深セン・大連 工場視察深セン・大連

深セン:キッチン天板の材料である大理石製造工場を視察しました。
大連:建築資材工場を視察しました。
撮影:佐藤建設株式会社 佐藤光輝

🏭 海外視察レポート|キッチン天板に使う大理石工場を訪れて

① 視察の背景と目的

私たち 佐藤建設 は今回、住宅のキッチン天板や水回りのカウンターに使う「大理石(天然石または加工石材)」を生産する大理石工場を見学し、 素材がどのように“原石 → 製品”になるか を実際に確認しました。

この視察の目的は、ただ見た目の良さを知るだけでなく、 素材の質感・構造・製造過程・品質管理 を理解することで、将来のお客様への素材選定や設計提案の際に “素材の本質”を正しく伝えられるようにすること です。


② 工場で見た工程と特徴

■ 原石(スラブ)から天板への変化 — 精密な加工プロセス

  • 大理石はまず採石場から大きな石の塊(ブロック)として切り出され、工場で「スラブ(板状)」にスライスされます。スラブにするためには、ワイヤーソーやギャングソー(ブレードソー)が使われ、大理石の性質に応じた慎重なカットが行われます。

  • スラブ状になった石は、その後、キッチン用の天板やカウンター用に形を切り出し、エッジ加工、サンディング → 研磨 → 面仕上げ(ポリッシュやホーニングなど)によって最終的な表面を整えられます。 

  • この一連の工程には、最新の切削機械や研磨機のほか、職人による微調整や目視検査が組み合わされており、機械と手仕事の両立によって「素材としての大理石」の持ち味が活かされています。 

■ 品質管理と石材の選別の重要性

  • 大理石は天然素材であるため、ひび割れ、スジ、模様の出方、石目の向き、構造上の強度など、同じ「色・柄」の中でも品質にばらつきがあります。そのため、スラブの段階で割れや欠けの有無、含有する不純物、内部の亀裂などを厳しくチェックする工程が設けられていました。

  • キッチン天板のように日常的に使う場所だからこそ、素材選定と品質の見極めはとても重要 — この点を、職人や技術者の方々が慎重に行っている現場を目の当たりにしました。

■ 加工性・仕上げバリエーションの幅の広さ

  • スラブから切り出す際、形状は単なる長方形だけでなく、シンクの穴あけや角の丸み、斜めのカット、厚みの調整など、多様なカスタムが可能でした。これは、設計の自由度を大きく広げる大きな強みです。

  • 表面仕上げも、光沢のあるポリッシュ仕上げ、ツヤを抑えたホーニング、ざらつきのあるテクスチャ仕上げなど、多様な選択肢があり、それぞれ「雰囲気・使い勝手・メンテナンス性」が異なります。お客様への提案の幅として非常に魅力的でした。


③ 私たち(佐藤建設)にとっての学びと、住まいづくりへの活かし方

この大理石工場視察を通して、私たちが得た学びは以下の通りです:

  • 素材の背景を理解して提案する重要性
    単なる「カッコいい」「高級感がある」ではなく、「なぜこの大理石を選ぶのか」「この石の特性は何か」「メンテナンス性は?」という情報を、お客様にきちんとお伝えできるようになります。

  • デザインの自由度とカスタマイズ性
    スラブ → 天板 → カウンター という流れを理解することで、間取りや住まいの用途に応じた カスタムキッチン、オーダー家具として、大理石の天板を柔軟に提案できるようになります。

  • 仕上げの選択による住まいの質づくり
    ポリッシュ仕上げ・マット仕上げ・テクスチャ仕上げなど、仕上げの違いで“見た目”“手触り”“使い心地”“メンテナンス性”が変わることを体感。お客様のライフスタイルに応じた最適な提案が可能です。

  • 素材と構造・施工管理の重要性
    石材は天然のものであるため、割れ・欠け・ひび・含水性など注意すべきポイントが多くあります。設計時だけでなく、施工・維持管理まで見据えた提案が必要だと改めて認識しました。


📌 まとめ

今回の大理石工場視察は、建材としての “大理石” をただ「美しい石材」以上のものとして理解する機会となりました。

キッチンや住まいのディテールにおいて、素材・質感・構造・仕上げまで含めて本質を捉えること――それが、私たちの家づくりの信条にふさわしい設計スタンスだと感じます。

今後は、この学びをもとに、宮崎という地域の気候や暮らしに合わせながら、天然石・大理石を用いた上質で永く住める住まいを提案してまいります。