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世界街並み視察

断崖絶壁の古都ロンダスペイン アンダルシア

スペイン南部のアンダルシア州にあるロンダという古都です。
標高750mの断崖絶壁の上にある要塞の町と言われています。

撮影:佐藤建設株式会社 佐藤光輝

🌄 海外視察レポート|Ronda(スペイン・ロンダ) — 断崖絶壁の古都に学ぶ「地形 × 住まい」の思想

 


① 街の概要

 

Sierra de las Nieves やSierra de Grazalemaなど山々に囲まれた内陸に位置するロンダは、海抜およそ 720〜750m の断崖絶壁の上に築かれた古都です。ウィキペディア+2佐藤建設株式会社|宮崎市の工務店+2


街を二分する谷(El Tajo Gorge)をまたぐ━━それにより生まれた峡谷と断崖の風景が、ロンダの最大の特徴となっています。ウィキペディア+2www.veltra.com+2

旧市街と新市街は、谷をまたぐ大きな橋によってつながれており、その橋こそがこの街の象徴。迫力ある自然地形と人の手による建築・街並みが共存する、非常に特異な立地の街です。ウィキペディア+2Andalucia.com+2


また歴史的背景も深く、古代ローマ時代、イスラム支配時代を経て、固有の文化と歴史が刻まれてきた街でもあります。spain.info+2discoverronda.com+2

② 見どころ・ロンダの魅力的な設計・街並みの特徴

■ 自然地形を取り込んだ“断崖 × 街”の景観

 

 

Puente Nuevo(プエンテ・ヌエボ)は、深さ約100 mの峡谷をまたぐ壮麗な石造りの橋で、ロンダを象徴するランドマークです。橋の上から谷底を覗き込むと、足がすくむほどの断崖と、空間のスケール感に圧倒されます。ウィキペディア+2フォートラベル+2

このような“自然の断崖”を前提にした街づくりは、平坦な土地での設計とは異なる、地形との共生を考える重要性を強く感じさせます。

■ 歴史と文化を包み込む“混層”の街並み

 

 

古代ローマ、イスラム(ムーア人)、キリスト教時代、そして近代――多様な歴史を経てきたロンダは、様々な時代の建築様式や文化、街区構成が混在する “時間の層” を持つ街です。ウィクペディア+2discoverronda.com+2


石畳の路地、小さな教会、旧市街の石造建築、そして峡谷に架かる古い橋──。こうした“時間の深み”は、ただの観光資源ではなく、住まいや街づくりの設計思想としても非常に示唆的です。

■ 地勢と気候を活かした“防御 × 眺望 × 居住”のバランス

 

 

断崖の上 ―― つまり天然の要塞 ―― という立地は、外敵や侵入者から守られ、かつ周囲の山や谷、空、遠景などを一望できる眺望を得ることができます。佐藤建設株式会社|宮崎市の工務店+2expedia+2


この「守られつつ開かれる」というバランスは、現代の住宅における“プライバシーと眺望”“安心と開放感”の両立に応用できる設計コンセプトです。

■ コンパクトな街並み・歩き回れるスケール感

 

ロンダの市街地は比較的小さく、谷をまたぐ橋や峡谷を除けば徒歩で回れる範囲にまとまっています。

路地、小道、石造の建物、階段や坂道――こうした要素が “歩き回る楽しさ” を生み出しています。danae-explore.com+2Adventures Around Skye+2


この“歩くスケール”や“人のスケール”を意識した設計は、住宅地や敷地デザインにおいても大きなヒントとなります。


 

③ “佐藤建設”として得た設計インスピレーションと応用アイデア

 

 

ロンダのような“断崖・峡谷という立地 × 長い歴史 ×スケール感のある街並み”から、私たちは以下のような設計思想を学び、住宅づくりに応用できると感じました。

■ 地形を活かす、地形と対話する住宅設計

 

 

平地ではなく、傾斜地・起伏地・高低差のある土地でも、地形をデメリットではなく“特徴”として受け入れ、

  • 眺望を活かす窓・テラス配置

 

  • 高低差を使ったスキップフロアや段差デザイン

 

  • 自然景観と一体化する外構・植栽設計

 

といった設計により、 “環境と共生する住まい” を提案できます。

■ 歴史性・素材感・時間を味わう住まいづくり

 

 

ロンダのように、石造・石畳・石壁・歴史的素材が“時間の深み”を刻んでいるように、
日本でも素材(石、左官、無垢材、自然素材)と “経年の味わい” を重視した住宅を設計すれば、 長く住み継がれる住宅を実現できます。

■ コンパクトで回遊性のある敷地・動線設計

 

狭くても“歩く楽しさ”を残す―― 路地感やスケール感、動線の工夫によって、
「ただの生活動線」ではなく、「居心地」や「発見のある住まい」を設計できます。

■ “守られ・開かれ”を両立するプライバシー設計

 

崖の上というロンダのような立地がなくとも、敷地の高低差、植栽、フェンス・塀、光・影のコントロールなどで、
「プライバシーと眺望」「安心と開放感」のバランスを取る設計は可能です。


📝 まとめ

 

 

ロンダは「断崖絶壁に抱かれた古都」。その特殊な地形、深い歴史、時間が刻まれた街並み──それらすべてが「住まいの根源」に立ち返るヒントを与えてくれます。

私たち 佐藤建設(自然屋)も、この視察で得た学びをもとに、
「地形・時間・素材・光・風景」を設計に取り込む、唯一無二の住まい
を追求してまいります。