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世界の建築家 建築物視察

建築家 ギュンター・レンチ 対談ドイツ ドレスデン

ドイツは「省エネ住宅」の最先端の国です。
建築家 ギュンター・レンチの設計した住宅を案内して頂きました。
住宅・商業施設・保育園など沢山のプロジェクトを抱えている建築家。
パッシブハウスの原点でもある施工方法やデザイン設計について対談。

撮影:佐藤建設株式会社 佐藤光輝

🏗️ 視察レポート|ギュンター・レンチ建築家との対談を通して — 建築の思想と時代への問い

 

 

① 対談の背景と目的

 

  • 今回の対談は、ドイツを拠点に活動する建築家ギュンター・レンチ氏を訪ね、「現代建築」「住宅の省エネ・環境設計」「住まいの快適性と持続可能性」に関する思想・実践を直接伺うことを目的として行われました。

 

  • 日本(特に宮崎)での住宅づくりを行う私たちにとって、異なる気候・文化・建築背景を持つドイツでの実践や思想を学ぶことは、設計の幅を広げる貴重な機会です。

 


② 対談内容の要点 — レンチ氏の建築思想と設計スタンス

 

以下は、対談を通じて浮かび上がった、レンチ氏の考え方・設計スタンスの主なポイントです。

  • 建築を「環境と人の関係性」で捉える

    レンチ氏は、建物を単なる「箱(ハコ)」として捉えるのではなく、「周囲の気候、自然、地域環境、人の暮らし方」と建築を一体化させることを重要視しています。建物は環境との対話の場であり、「住む人が自然や時間の変化を感じられる家」を設計するという考え方です。

 

  • 断熱・気密・素材・技術を丁寧に扱うことで「快適 × 持続可能」な住まいを実現

    特にドイツでは、省エネ住宅や「Passive House Institute(パッシブハウス研究所)」の規格などを通じて、断熱性・気密性・換気・熱管理・素材選定といった建物の“基本性能”を厳格に設計・施工する文化があります。レンチ氏もその思想を尊重しつつ、住まいの快適性、健康性、長寿命性を第一に据えています。 パッシブハウス研究所+1

 

  • 設計の自由度と地域性のバランス

    レンチ氏は、ドイツ国内のみならず、異なる気候・文化圏での建築経験を踏まえ、「画一的なデザイン」ではなく「地域性や住み手のライフスタイルに応じたカスタム設計」の重要性を語っており、日本の住宅事情にも通じる柔軟な姿勢を持っています。

  • 「住まいの価値」をエネルギーや性能だけでなく、“時間・空間・心地よさ”で考える

    建物の断熱性や省エネ性はもちろん重要だが、それだけではなく、窓から差す光、風の抜け、間取りや素材の質感、住む人が心地よさを感じる“居住性”――これらをトータルで設計することで、単なる住居ではなく「生きる空間=住まい」となる、という思想です。

 


③ 私たち(佐藤建設)への示唆と、今後の家づくりへの応用

 

 

レンチ氏との対談で得た学びを、私たちの家づくりに活かすなら、以下のような方向が考えられます。

  • 地域の気候・風土を読み込んだ設計

     たとえば宮崎のような気候環境では、断熱・通風・湿気対策などが重要になります。レンチ氏のように「環境との対話」を設計思想の核とすることで、快適かつ持続可能な住宅が実現できると感じました。

 

  • 基本性能 × 心地よさ の両立

     断熱・気密・換気などの技術的要件に加えて、素材の質感、光・風・空間構成といった“住まいの質感”まで丁寧に設計することで、長期にわたって価値のある家づくりが可能。

 

  • お客様との対話を重視した設計提案

     画一的・標準化された住宅ではなく、お客様の暮らし方、家族構成、ライフスタイル、将来設計に応じた、オーダーメイドに近い“柔軟な設計提案”。

 

  • 持続可能性を見据えた住宅の選択肢としての提案

     省エネ・長寿命・心地よさ・環境配慮――これらを兼ね備えた住宅を、単なる“特別な家”ではなく、多くのお客様にとっての選択肢として提示できる設計スタンス。

 


📝 まとめ

 

 

ギュンター・レンチ氏との対談は、建築を取り巻く環境、技術、人の暮らし、そして未来への責任——さまざまな観点を改めて考えるよい機会でした。

私たち 佐藤建設としても、この対談で得た「環境との調和」「住まいの本質」「設計の自由と責任」という価値観を大切に、今後の住宅づくりに反映していきたいと思います。