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世界街並み視察

水の都 ヴェネチアの街並みイタリア ヴェネチア

イタリア北東部に位置する世界で一番美しいと言われています。
別名「水の都」サン・マルコ運河沿いに位置します。

撮影:佐藤建設株式会社 佐藤光輝

🌊 海外視察レポート|ヴェネツィア — “水の都”が教えてくれる、街と住まいのあり方

① 街の概要 — なぜ「水の都」か

  • ヴェネツィアは、約 118の小さな島々 が入り組む潟(ラグーナ)上に築かれた都市で、水と陸が混ざり合うユニークな地形の上に成り立っています。ウィキペディア+2ユネスコ世界遺産センター+2

  • 街全体が運河と橋により構成されており、400本以上の橋と150以上の運河が島々をつないでいます。worldheritagesite.org+2Images of Venice+2

  • これにより、街の「道」は“陸路”ではなく“水路”が基本――移動手段としてゴンドラや水上バス(ヴァポレット)が使われ、歩行だけではなく“水上の移動”が当たり前の暮らしになっています。www.veltra.com+2atvo.it+2

  • 歴史的には、ヴェネツィアは中世〜ルネサンス期に海運王国として栄え、その富を背景に壮麗なパラッツォ(宮殿・邸宅群)を建設。多くの建物が水上アクセスを前提とした構造で、水とともに生活する都市として発展しました。ユネスコ世界遺産センター+2European Waterways+2


② 街並みと建築 —— 水と共にある都市景観の特徴

🚤 運河・水路を“街の道”とした都市構造

  • カナル・グランデ(Grand Canal)は、街を横断する逆“S字”の大運河で、幅約 30–70 m、深さは約 5 m — 運河の両岸には13〜18世紀に建てられた170棟以上の宮殿や貴族邸宅が並び、水上交通の大動脈となっています。ウィキペディア+2atvo.it+2

  • 運河沿いのファサードは、水上からの到着を意識したデザイン。水門(ボート用の入口)やアーチ状の入口、2階以上の大きな窓、豪華な装飾など――“水上アクセス前提”の建築デザインが特徴です。ArchDaily+2ウィキペディア+2

🏛 歴史と人々の営みが重層する建築

  • ヴェネツィアには、ゴシック、ビザンチン、ルネサンス、バロックなど様々な時代の建築様式が混在し、それぞれの時代の文化・美意識を今に伝えています。ユネスコ世界遺産センター+2Open Culture+2

  • 運河・石造り・水辺・橋・古い建物――これらが複合することで、まるで“水上の絵画”のような景観が生まれ、「時代の層」「人の営み」「水と建築の関係」が街の随所に感じられます。世界を旅する+2European Ribbon+2

🛶 移動と暮らしの形が変える住まいの発想

  • 自動車道路がなく、水上交通が基本となるため、建物の出入り口、水門、ボート置き場、運河に面したファサードなど、水との関係性を前提とした住まいづくり/街づくりが自然と成立しています。

  • 運河や橋、小道を歩き、水上の風景が生活の一部となることで、住まいの設計・間取り・アクセスの発想が「水 × 人 × 時代」という別次元で考えられているのが、ヴェネツィアの大きな特徴です。


③ 私たち(佐藤建設)にとっての示唆 — 家づくり・まちづくりへの学び

テーマ 応用アイデア
自然・水辺・気候との共生 敷地の水辺、川、池、海など自然環境があるなら、水とのつながりを活かす設計。「水辺を活かした庭・外構」「風・光・眺望を意識した配置」など
地形・環境を活かした住まい 高低差、眺望、方向、周囲の自然環境を設計に取り込むことで、建物・土地・環境が一体となる住宅づくり
“動線”の再考 — 住まいとアクセスの関係 車動線だけでなく、歩行/自転車/自然とのアクセスなど、多様な“暮らしの動線”を大切に
歴史性・地域性・素材感の尊重 新築・リノベーションにおいても「その地の気候・素材・歴史・風土」に敬意を払い、地域に馴染むデザインを
暮らしを“経験”としてデザイン 光、水、風、時間の変化を感じられる設計 — 四季の表情、自然の音、水の流れ、風景の変化など、暮らしの豊かさを“体験”として設計に取り込む

特に、宮崎のように自然や気候・風土が豊かな地域であれば、ヴェネツィアから学べる「環境との共生」「自然とのつながり」「場としての住まいの在り方」は、住宅設計のヒントとして非常に有効だと思います。


④ まとめ

ヴェネツィアは、ただの観光地ではなく、人々が“水とともに暮らす”ことを前提に築いた、世界でも稀有な都市です。

運河、水上交通、歴史的建築、環境と共生する暮らし――それは、私たちが家づくりを考える上で、大切な “問い” を投げかけてくれます。

私たち佐藤建設は、こうした水の都ヴェネツィアから得た学びを、宮崎の自然・土地・暮らしに合わせて咀嚼し、 「風土と環境、人がつながる家」 を提案してまいります。