スフォルツェスコ城イタリア ミラノ
ミケランジェロの未完の傑作「ロンダニーニのピエタ」
レオナルド・ダ・ヴィンチが設計した「板張りの間」
巨匠の作品を見学できる博物館があります。
撮影:佐藤建設株式会社 佐藤光輝


















海外視察レポート|スフォルツェスコ城(ミラノ) — 城塞から文化拠点へ
① 建物概要と歴史
スフォルツェスコ城(Castello Sforzesco) は、イタリア・ミラノ中心部にある歴史的な城塞です。
もともとは14世紀にヴィスコンティ家の城塞として建設が始まり、15世紀にはフランチェスコ・スフォルツァ公爵によって大幅に改築・増築されました。ヨーロッパ有数の城郭建築として、都市の防衛・統治の役割を果たしていた歴史があります。ウィキペディア+1
城の正面にそびえる「フィレーテの塔」は、スフォルツァ家の象徴ともいえる存在で、城全体は四角い造りと厚い城壁が印象的です。城の内部には広い中庭や回廊があり、中世の威厳ある空間構成を今に伝えています。ミラノ観光情報ガイド | ミランフォ
② ルネサンスと都市文化の結節点として
スフォルツェスコ城は単なる防衛施設にとどまらず、ルネサンス期の権力と文化を象徴する場でもありました。
城は時代を経るごとに改修され、18〜19世紀の修復を経て現在の姿になっています。中心部の城塞機能が薄れた後は、文化・芸術の拠点として都市の重要なランドマークとなっています。Yes Milano+1
③ 見どころ・城内の魅力
🏛 城塞としての空間
入場せずとも城壁外観やフィレーテ塔の重厚な佇まいを見学でき、当時の構造やディテールから「堅牢さ」「都市防衛の思想」を感じ取れます。城壁の厚み、中庭の配置などが、中世の戦略的構造を物語っています。ミラノ観光情報ガイド | ミランフォ
🎨 複合文化施設としての博物館群
城内部は 複数の博物館・展示スペース として公開されており、
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古代美術・絵画・彫刻などを展示する美術館
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ミケランジェロの未完作「ロンダニーニのピエタ」などの芸術作品
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インテリア・家具・装飾芸術のコレクション
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考古学・民族資料/楽器博物館 など、多彩なテーマの展示が楽しめます。Yes Milano+1
これらは ミラノの歴史・文化・芸術を総合的に体感できる場 として機能しており、城自体が「時間と文化を伝えるミュージアム」になっています。Italia.it
🏰 中庭・回廊・ディテール
城内中庭は自由に歩き回れる空間もあり、城壁や回廊をめぐりながら歴史的ディテールや紋章、柱廊などを観察できます。これらは「場としての空間のつくり方」「内部外部のつながり」を実感する良いモデルです。Museo per tutti
④ 私たち(佐藤建設)にとっての学び・設計への示唆
🔹 歴史的建築の価値と継承
中世の城塞であっても、時代とともに姿を変え、現代の文化拠点として機能するようになるというプロセスは、歴史を尊重しながら現代ニーズに対応する価値観を教えてくれます。
🔹 複合的な空間の活用
スフォルツェスコ城のように、一つの建築が複数の機能(展示・教育・交流)を持つことで、建物が生活・文化・学びの場として広がる可能性を感じられます。
🔹 場としての連続性
城内外の空間は「防衛→居住→博物館」という変遷を経て、人々が行き交う場になっています。これは 住宅や公共建築でも“時間軸と共に変化しうる空間設計” のヒントになります。
📝 まとめ
スフォルツェスコ城は、ミラノの歴史・権力・文化が重なり合った、非常に豊かな視察対象でした。
単なる“古城”ではなく、歴史と現代をつなぐ場としての建築 であり、都市の中心として人々に文化体験を提供する役割を持っています。
この視察を通して、
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歴史的価値の継承
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空間の多用途性
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文化と生活の結節点としての建築
という学びを得ました。これらは私たちの住宅設計・空間提案にも大きな示唆となります。