天空の城 ゴルドフランス プロヴァンス リュベロン地方
ジブリの映画である「天空の城ラピュタ」のモデルにもなった村です。
撮影:佐藤建設株式会社 佐藤光輝




海外視察レポート|ゴルド(Gordes)
― 天空の城と呼ばれる、石の村の風景
① ゴルドとは — プロヴァンスを代表する「天空の村」
南フランス・プロヴァンス地方に位置するゴルドは、
断崖の上に築かれた石造りの村で、**「フランスで最も美しい村のひとつ」**として知られています。
丘の斜面に沿って積み重なるように建つ家々は、遠くから見るとまるで一つの巨大な建築物のようで、
その姿から 「天空の城」 と称されることも少なくありません。
② ジブリ映画「天空の城ラピュタ」との関係
ゴルドは、
天空の城ラピュタ
の世界観を連想させる村としても知られています。
公式にモデルと明言されているわけではありませんが、
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岩山の上に築かれた集落
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石造りの家々が層をなして連なる景観
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人の営みと自然が一体化したような佇まい
こうした要素は、ラピュタのイメージと強く重なり、多くの人が「まさに天空の城」と感じる理由になっています。
③ 建築と街並みの特徴
■ 石だけでつくられた世界
ゴルドの建物は、周辺で採れる石灰岩を使った石造建築が基本です。
外壁・屋根・塀・路地に至るまで、ほぼすべてが石で構成され、
色・素材・質感が統一された街並みを形成しています。
■ 地形に逆らわない構成
家々は整然と並ぶのではなく、
斜面の形状に合わせて段状に配置されています。
・平らに造成しない
・無理に整えない
・土地の形をそのまま受け入れる
この姿勢が、結果として唯一無二の景観を生み出しています。
■ 時間が刻まれた外観
壁の凹凸、欠け、色むらは修正されることなく残され、
「時間が刻まれた美しさ」として街全体に表れています。
④ 実際に歩いて感じたこと
ゴルドの村を歩くと、
「観光地」というよりも、ひとつの完成された建築作品の中を歩いている感覚になります。
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細く曲がりくねった路地
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突然開ける眺望
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視線の先に現れる石の壁や屋根
すべてが計算されたかのようでありながら、
実際には 長い時間をかけて自然に形成されたものだという点に、深い魅力を感じました。
⑤ 住まいづくりへの示唆
ゴルドの街並みから得られる学びは、住宅設計にも通じます。
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土地の形を活かすことが、最良のデザインになる
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素材を限定することで、空間に統一感と強さが生まれる
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新しく見せることより、時間と共存することを大切にする
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建物単体ではなく「風景の一部」として考える視点
派手な装飾や最新設備がなくとも、
住まいはここまで豊かになれる——
そんな本質を、ゴルドは静かに教えてくれます。
📝 まとめ
ゴルドは、
自然・建築・時間・人の暮らしが完全に溶け合った、
まさに「天空の城」と呼ぶにふさわしい村でした。
ジブリ映画を思わせる幻想的な景観の奥には、
・土地を尊重する建築
・素材を信じる姿勢
・時間を味方にする暮らし
という、住まいづくりにおいて最も大切な価値観が息づいています。
この視察で得た感覚は、
これからの家づくりにも、確実に活かしていきたいと思います。