なぜ急増?注文住宅設計で最近トレーニングルームを作るのが人気な理由と導入メリット
2026年02月18日
近年、注文住宅の設計において自宅に本格的なトレーニングルームやホームジムを設けるケースが急増しています。
その背景には、コロナ禍を経て定着した健康意識の高まりや、テレワーク普及による在宅時間の増加、そして24時間ジムブームから「完全なプライベート空間」への回帰というニーズの変化が挙げられます。
この記事では、なぜ今専用の運動スペースを作るのが人気なのかという理由に加え、移動時間ゼロで継続しやすいメリットや、床の補強・防音対策といった失敗しない間取りのポイントまで網羅的に解説します。理想の家づくりで後悔しないための参考にしてください。

注文住宅設計で最近トレーニングルームを作るのが人気な理由とは
近年、注文住宅の間取り打ち合わせにおいて「トレーニングルーム」や「ホームジム」の設置を希望する施主が急増しています。
かつては一部の愛好家だけの特別な設備というイメージがありましたが、現在では書斎やパントリーと同じように、ライフスタイルに必要な機能として検討されることが一般的になりつつあります。
なぜ今、自宅に専用の運動スペースを設けることがトレンドとなっているのでしょうか。その背景には、社会情勢の変化やライフスタイルの多様化に伴う、明確な理由が存在します。
コロナ禍を経て高まった健康意識と運動不足解消のニーズ
トレーニングルーム需要の最大のきっかけとなったのは、新型コロナウイルスの流行です。
感染拡大防止のための外出自粛やスポーツジムの休業・時短営業を経験したことで、多くの人が「場所や環境に左右されずに運動できる環境」の重要性を痛感しました。
また、パンデミックを機に自身の健康管理に対する意識がかつてないほど高まっています。
スポーツ庁が公表している令和5年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」によると、成人の週1回以上のスポーツ実施率は50%を超えており、運動を行う理由として「健康のため」が圧倒的多数を占めています。
一過性のブームではなく、健康維持を生活の基盤と捉える価値観が定着したことが、新築時に恒久的な運動スペースを確保しようとする動きに繋がっています。
リモートワーク普及による在宅時間の増加とストレス発散
働き方改革やテレワークの普及により、自宅で過ごす時間が大幅に長くなったことも大きな要因です。
通勤という強制的な移動時間がなくなったことで、慢性的な運動不足を感じる人が増えました。
自宅が「仕事場」と「生活の場」を兼ねるようになると、オンとオフの切り替えが難しくなります。
そこで、仕事の合間や就業後にすぐに汗を流せるトレーニングルームが、心身のリフレッシュやストレス発散の装置として機能するようになりました。
リビングの一角で行う「宅トレ」から一歩進んで、仕事部屋とは別に専用のトレーニング空間を設けることで、気持ちの切り替えをスムーズにし、生産性を高めたいというニーズも、特にビジネスパーソンの間で高まっています。
24時間ジムの流行から自宅での完全プライベート空間への移行
近年、コンビニ感覚で通える24時間営業のジムが全国的に急増し、トレーニング人口の裾野が広がりました。
しかし、ジム通いを経験したからこそ感じる「不満」や「課題」が顕在化し、それが注文住宅でのホームジム導入を後押ししています。
ジム利用者が抱えがちな悩みと、自宅トレーニングルームによる解決策を整理すると以下のようになります。
| 一般的なジムで感じるストレス | 自宅トレーニングルームでの解決 |
|---|---|
| マシンの順番待ちや混雑 | いつでも好きな機器を独占できる |
| 他人の視線や服装への気遣い | 完全プライベートで服装も自由 |
| 往復の移動時間や天候の影響 | 移動0分、雨の日も継続しやすい |
| 衛生面や感染リスクの不安 | 自分専用なので清潔・安心 |
このように、一度ジムの利便性を知った層が、より快適で効率的な環境を求めて「自宅のジム化」を選択するケースが増えています。
また、YouTubeなどの動画配信サービスやオンラインレッスンの質が向上し、トレーナーがいなくても自宅で本格的なトレーニングが可能になった技術的背景も、この人気を支えています。
注文住宅にトレーニングルームを導入する5つのメリット
注文住宅を建てる際に、専用のトレーニングルーム(ホームジム)を間取りに組み込む家庭が増えています。
自身のライフスタイルに合わせて設計された運動スペースは、単なる「運動器具置き場」以上の価値を住まいにもたらします。
ここでは、公共のスポーツジムやフィットネスクラブに通う場合と比較して、注文住宅にトレーニングルームを導入することで得られる具体的な5つのメリットを解説します。
移動時間ゼロで好きな時に運動できる効率性
最大のメリットは、ジムへの往復時間を完全にカットできる「タイムパフォーマンス(タイパ)」の良さです。
一般的なスポーツジムに通う場合、往復の移動時間に加え、着替えや準備を含めると1回あたり30分から1時間以上の時間を費やすことも珍しくありません。
自宅内にトレーニングルームがあれば、移動時間はゼロです。
仕事前の早朝、リモートワークの昼休憩、就寝前のわずか15分など、隙間時間を有効活用してトレーニングを行うことができます。
また、雨や雪の日、猛暑日など、天候に左右されずに運動習慣を継続できる点も、挫折を防ぐ大きな要因となります。
人目を気にせず服装や機器を自由に選べる
公共のジムでは、周囲の視線が気になり、ウェアや体型にコンプレックスを感じてしまうという声も少なくありません。
しかし、自宅の完全プライベート空間であれば、他人の目を気にする必要は一切ありません。
最新のブランドウェアを用意する必要はなく、動きやすい部屋着や古くなったTシャツでも問題ありません。
また、好きな音楽をスピーカーから大音量で流したり、トレーニング中の苦しい表情や声を我慢したりする必要もありません。
スマートフォンで自分のフォームを動画撮影してチェックすることも、周囲に気兼ねなく行えます。
順番待ちがなく自分のペースでトレーニングに集中できる
夕方から夜にかけての混雑する時間帯のジムでは、使いたいパワーラックやランニングマシンが埋まっており、順番待ちが発生することがよくあります。
これにより、予定していたトレーニングメニューが消化できなかったり、セット間のインターバル(休憩時間)が乱れて効果が薄れたりするストレスがあります。
注文住宅の専用ルームなら、すべての器具が自分専用です。
複数のマシンを交互に使う「スーパーセット法」のようなトレーニングも、他人を待たせる心配がないため自由に行えます。
使用後の汗の拭き取りやマナーに過度に神経を使う必要もなく、自分のペースで極限まで追い込むことが可能です。
長期的に見るとジムの会費よりもコストパフォーマンスが良い
初期費用としてトレーニング機器の購入費や、床の補強・防音工事費がかかりますが、長期的な視点で見ると、毎月のジム会費を払い続けるよりも経済的になるケースが多くあります。
一般的な24時間ジムの会費を月額8,000円と仮定し、夫婦2人で通った場合と、ホームジムを導入した場合のコスト比較を以下の表にまとめました。
| 比較項目 | スポーツジム(夫婦2人) | 注文住宅のホームジム |
|---|---|---|
| 月額費用 | 約16,000円(8,000円×2名) | 0円(電気代等は除く) |
| 初期費用 | 入会金・事務手数料など | 約30万〜50万円(機材・内装費) |
| 3年間の総額 | 約576,000円 | 約30万〜50万円(初期投資のみ) |
| 5年間の総額 | 約960,000円 | 約30万〜50万円(メンテナンス費除く) |
このように、夫婦や親子など家族複数人で利用する場合、数年で初期投資を回収できる計算になります。
住宅ローンの中に施工費用を組み込むことで、月々の支払負担を抑えつつ理想の環境を手に入れることも可能です。
家族全員で共有して健康習慣を作れる
トレーニングルームは、本格的な筋トレをする人だけのものではありません。
広さを確保し、鏡やマットを設置すれば、家族全員の多目的スペースとして活用できます。
例えば、妻はヨガやピラティス、子供はダンスの練習や雨の日の遊び場、夫はウエイトトレーニングといったように、時間帯を分けて共有できます。
リビングから見える位置に配置したり、ガラス張りの設計にしたりすることで、子供の様子を見守りながら運動することも可能です。
家族の生活動線の中に「運動する場所」が自然に存在することで、家庭全体の健康意識が高まり、コミュニケーションの活性化にもつながります。
設計時に押さえておきたいトレーニングルームの間取りと注意点
注文住宅で理想のトレーニングルームを実現するためには、単に空き部屋を利用するだけでは不十分です。
重い機材を置くための構造計算や、近隣トラブルを避けるための防音対策など、専門的な設計視点が不可欠です。
後悔しないための具体的な間取りの基準と注意点を解説します。
必要な広さはどれくらいか
トレーニングルームに必要な広さは、導入したい器具の種類と、トレーニングの目的によって大きく異なります。
器具のサイズだけでなく、バーベルのシャフトの長さや、動作時の可動域、安全確保のための通路幅(一般的に周囲に30cm〜50cm程度)を考慮して設計する必要があります。
| 広さの目安 | 設置可能な器具・用途 | 設計のポイント |
|---|---|---|
| 2畳〜3畳 | ヨガ、ストレッチ、ダンベル、エアロバイク | 換気と床のクッション性を重視 |
| 4.5畳 | ベンチプレス台、スミスマシン(コンパクトタイプ) | プレートの付け替えスペースを確保するため配置に工夫が必要 |
| 6畳以上 | パワーラック、ケーブルマシン、トレッドミル | 複数のマシンを設置可能。床補強が必須となるケースが多い |
ヨガやストレッチ中心なら2畳から3畳
ヨガマットを敷いて行う自重トレーニングやストレッチ、あるいはバランスボールを使用した軽い運動がメインであれば、2畳から3畳(約3.3〜5平米)のスペースで十分です。
この広さがあれば、大人が両手を広げても壁にぶつかることはありません。
ただし、天井の高さには注意が必要です。縄跳びや、手を高く上げる動作を行う場合、一般的な天井高(2400mm)では圧迫感を感じることがあります。
可能であれば、一部を折り上げ天井にするなどして高さを確保すると、開放感のある空間でリラックスしてトレーニングできます。
本格的なマシンを置くなら4.5畳から6畳以上
パワーラックやハーフラック、ランニングマシン(トレッドミル)などの大型機器を導入する場合は、最低でも4.5畳、快適に使うなら6畳以上の広さが推奨されます。
特にフリーウェイトを扱う場合、オリンピックシャフト(約220cm)を使用すると、横幅だけで2m以上を占有します。
プレートの着脱を行うためには、シャフトの両端にさらに30cm以上のスペースが必要です。
6畳あれば、メインのマシンに加えてダンベルラックやベンチを置く余裕も生まれ、本格的なホームジムとして機能します。
床の補強と防音対策の重要性
トレーニングルーム設計で最も重要なのが「床」の仕様です。
建築基準法では住宅の居室の積載荷重は180kg/平米以上と定められていますが、トレーニング機器は一点に重量が集中するため、標準的な床ではたわみや破損のリスクがあります。
例えば、パワーラック、バーベルセット、そしてトレーニングする本人の体重を合わせると、総重量が300kg〜500kgを超えることも珍しくありません。
設計段階で「床補強(根太のピッチを細かくする、合板を二重張りするなど)」を依頼し、局所的な荷重に耐えられる構造にすることが必須です。
また、防音・防振対策も欠かせません。
バーベルを置く際の「ドスン」という衝撃音(重量床衝撃音)や、ランニングマシンの振動は、想像以上に家全体や隣家に響きます。以下の対策を組み合わせることをお勧めします。
- コンクリートスラブを厚くする、または防振ゴムを使用した二重床構造にする
- 床材には硬質のゴムチップマットや、厚手のジョイントマットを敷き詰める
- 2階以上ではなく、可能な限り1階の土間コンクリート上に配置する
換気システムと空調設備の配置
トレーニング中は酸素消費量が増え、室内の二酸化炭素濃度が急激に上昇します。
また、汗による湿気や臭いもこもりやすいため、一般的な居室よりも強力な換気計画が必要です。
第一種換気システム(機械給気・機械排気)を採用し、常に新鮮な空気を取り込める環境を整えましょう。
エアコンの配置にも注意が必要です。
トレーニング中の体に直接冷風が当たると、筋肉が冷えて怪我の原因になったり、体調を崩したりする可能性があります。
風が直接体に当たらない位置、あるいはサーキュレーターと併用して空気を循環させやすい位置に設置するのがセオリーです。
全身鏡や照明計画でモチベーションアップ
継続的なトレーニングにはモチベーションの維持が不可欠です。
壁一面に大型の「全身鏡(姿見)」を設置することは、フォームのチェックができるだけでなく、空間を広く見せる効果もあり非常に人気があります。
ただし、大型の鏡は重量があるため、壁の石膏ボードの下に「下地補強」を入れておく必要があります。
照明計画については、ダウンライトの配置に気をつけましょう。
ベンチプレスなどで仰向けになった際、照明が直視線上にあると眩しくて集中できません。
調光機能付きのライトを採用し、ヨガの時は暗めでリラックス、ウェイトトレーニングの時は明るく覚醒させるなど、シーンに合わせて照度や色温度を変えられるようにすると、ジムとしての完成度が格段に上がります。
まとめ
注文住宅にトレーニングルームを設ける動きは、健康意識の高まりや在宅時間の増加を背景に、近年急速に人気を集めています。
自宅にジムを作ることで、移動時間や周囲の視線を気にせず、好きな時に集中して運動できるのが最大のメリットです。
また、長期的にはジム会費の節約にもつながり、家族全員で健康的な生活習慣を築ける点も魅力です。
ただし、設置にはマシンの重量に耐える床補強や防音対策、適切な換気計画が欠かせません。
後悔のない家づくりのためにも、設計段階から施工会社と綿密に相談し、ライフスタイルに合った最適なトレーニング環境を実現しましょう。



