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宮﨑県注文住宅の失敗?冬に晴れているのに家が寒い理由と解決策

「南国宮崎」といえば温暖な気候のイメージが強いですが、実際に注文住宅に住んでみると「冬に晴れているのに家の中が寒い」「底冷えがする」といった悩みを抱える方は少なくありません。

 

全国トップクラスの日照時間と快晴日数を誇る宮﨑県だからこそ、冬場は雲に遮られることなく地表の熱が奪われる「放射冷却現象」が強く働き、朝晩の冷え込みが予想以上に厳しくなる傾向があります。

 

しかし、家が寒い原因は外気温だけではありません。せっかくの日差しを取り込んでも、住宅自体の「気密性」や「断熱性」が不足していると、暖められた空気はすぐに逃げてしまいます。

 

特に窓などの開口部からの熱流出や、冷たい空気が床元を這う「コールドドラフト現象」が室温低下の大きな要因となっているケースが多いのです。

 

この記事では、宮﨑県の気候特性を踏まえた上で、なぜ晴れているのに家が寒くなるのかという根本的な理由と、その具体的な解決策について詳しく解説します。

 

窓の断熱リフォームや内窓(二重窓)の設置、サーキュレーターを活用した暖房効率の上げ方、そしてこれから家を建てる方が失敗しないための高気密高断熱住宅を扱う工務店の選び方まで網羅しました。

 

宮﨑の冬を暖かく快適に過ごすための住環境づくりのヒントが、この記事から必ず見つかるはずです。

 宮﨑県の気候特性と冬の寒さの関係

「日本のひなた」というキャッチフレーズで知られる宮崎県は、年間を通して温暖な南国のイメージが強い地域です。

 

しかし、実際に注文住宅を建てて住んでみると、「冬の家の中が予想以上に寒い」と驚く方は少なくありません。

 

このギャップが生まれる背景には、宮崎特有の気候特性が大きく関係しています。

 

宮崎県の冬は、単に気温が高いだけではなく、日照時間の長さや快晴日数の多さが特徴です。

 

一見すると暖かそうに思えるこの「晴天」こそが、実は冬の朝晩の厳しい冷え込みを引き起こす要因となっています。

 

ここでは、宮崎県の気象データに基づき、なぜ冬に晴れているのに家が寒くなるのか、そのメカニズムを解説します。

 

 南国宮崎でも冬の朝晩が冷え込む理由

宮崎県は九州山地が北西からの季節風を遮るため、冬でも昼間はポカポカとした陽気になることが多い地域です。

 

実際に、宮崎県は快晴日数が全国でもトップクラスに多く、日中の日差しは十分に暖かさを感じさせます。

 

しかし、この「昼間の暖かさ」と「夜間の冷え込み」の激しい温度差(日較差)こそが、宮崎の冬の大きな特徴です。

 

以下の表は、宮崎市における冬(1月)の気温データをまとめたものです。最高気温は10℃を大きく超えますが、最低気温は2℃台まで下がり、その差は約10℃にも及びます。

 

 

観測地点(宮崎市) 平均気温 平均最高気温 平均最低気温
1月(平年値) 7.8℃ 13.0℃ 2.9℃
2月(平年値) 8.9℃ 14.1℃ 3.8℃

出典:気象庁|過去の気象データ検索

このように、平均気温だけで見れば温暖に見えますが、明け方には氷点下近くまで気温が下がる日も珍しくありません。

 

この激しい寒暖差に対応できる断熱性能が家に備わっていない場合、夜間に急激に室温が低下し、「南国なのに寒い」という不満につながりやすくなるのです。

 

 晴れているのに寒い放射冷却現象の影響

宮崎県の冬の寒さを決定づけているのが「放射冷却現象」です。

 

これは、地表の熱が上空へと逃げていき、気温が下がる現象のことです。通常、空に雲がある場合は、雲が布団のような役割を果たして地表の熱を逃がさないようにしてくれます。

 

しかし、雲ひとつない快晴の夜は、熱を遮るものがないため、地表の熱がどんどん宇宙空間へと放出されてしまいます。

 

宮崎県は快晴日数(年間)が全国2位(2020年平年値)を記録するなど、非常に晴れの日が多い県です。

 

皮肉なことに、天気が良く晴れているからこそ、夜間の放射冷却が強く働き、底冷えするような寒さを招いてしまうのです。

 

この放射冷却による冷気は、家の隙間や断熱性能の低い窓ガラスを通して容赦なく室内に侵入します。

 

特に、昼間の日差しで暖められたリビングが、日が落ちると同時に急速に冷えていく現象は、この放射冷却の影響をダイレクトに受けている証拠と言えます。

 

 

宮崎で注文住宅を建てる際は、「晴れているから暖かい」と油断せず、この放射冷却による夜間の冷え込みを前提とした家づくりが不可欠です。

 

 宮﨑県注文住宅で家が寒いと感じる構造的な原因

宮崎県は全国的に見ても日照時間が長く、温暖な気候のイメージが強い地域です。

 

しかし、実際に注文住宅を建てて住んでみると、「冬は想像以上に寒い」「晴れているのに家の中が暖まらない」という悩みを抱える施主様が少なくありません。

 

外気温がそれほど低くない日でも家の中が寒く感じる場合、その原因は暖房器具の能力不足ではなく、家の「構造」そのものに隠されていることがほとんどです。

 

ここでは、宮崎県の住宅で寒さを引き起こす構造的な要因について詳しく解説します。

 気密性と断熱性が不足している可能性

「南国宮崎だから、そこまで断熱にこだわらなくても大丈夫だろう」という油断は、家づくりにおける大きな落とし穴です。

 

特に冬場は、晴天率が高いゆえに放射冷却現象が起きやすく、朝晩の冷え込みは厳しくなります。

 

家が寒い最大の要因は、住宅の気密性(C値)断熱性(UA値)の不足にあります。

 

気密性が低い家は、目に見えない隙間が家中に存在している状態です。

 

せっかく暖房で温めた空気も、天井や壁の隙間から外へ逃げてしまい、代わりに足元の隙間から冷たい外気が侵入してきます。

 

また、壁や天井に入っている断熱材の厚みが不十分だったり、施工精度が低く隙間だらけだったりすると、魔法瓶の蓋が開いているのと同じ状態で、保温効果が発揮されません。

 

宮崎県のような温暖地(省エネ基準地域区分6・7地域)であっても、快適な室温を維持するためには、国が定める省エネ基準を大きく上回る断熱性能が必要です。

 

 窓からの熱流出とコールドドラフト

住宅の中で最も熱の出入りが激しい場所は「窓」などの開口部です。

 

実は、冬場に暖房で温められた熱の約50%以上が、窓から外へ流出していると言われています。

 

宮崎県の既存住宅や一部のローコスト住宅では、依然として「アルミサッシ」と「単板ガラス(一枚ガラス)」の組み合わせが多く見られます。

 

アルミは熱伝導率が非常に高いため、外気の冷たさをダイレクトに室内に伝えてしまいます。

 

これにより発生するのが「コールドドラフト現象」です。

 

冷たい窓ガラスに触れて冷やされた室内の空気は、重くなって床面へと下降します。

 

暖房をつけているのに足元だけが冷たい、いわゆる「底冷え」の原因は、このコールドドラフトにあることが多いのです。

 

サッシの種類による断熱性能の違いを以下にまとめました。

 

サッシの種類 熱の伝わりやすさ 特徴
アルミサッシ 高い(寒い) 安価だが断熱性が低く、結露しやすい。
アルミ樹脂複合サッシ 中程度 室外側がアルミ、室内側が樹脂。バランスが良い。
オール樹脂サッシ 低い(暖かい) 断熱性が非常に高く、結露も大幅に抑制できる。

窓の断熱性能については、YKK APの「暑さや寒さをやわらげる断熱窓」などの専門ページでも詳しく解説されています。

 

 24時間換気システムによる冷気の流入

2003年の建築基準法改正以降、すべての住宅に「24時間換気システム」の設置が義務付けられました。

 

これはシックハウス症候群対策として必要な設備ですが、冬場の寒さの一因となることがあります。

 

特に多くの住宅で採用されている「第3種換気システム」は、排気のみを機械で行い、給気は各部屋の壁にある給気口から自然に取り込む仕組みです。

 

そのため、冬場は外の冷たい空気がそのまま室内に入ってきます。

 

給気口の近くにいると冷気を感じるため、寒さに耐えかねて給気口を閉じてしまう方がいますが、これは結露やカビの原因となるため推奨されません。

 

対策としては、熱交換型の「第1種換気システム」を採用するか、給気口に冷気の侵入を和らげるカバーやフィルターを設置するなどの工夫が求められます。

 

 冬に晴れているのに家が寒い状態を解決する方法

宮﨑県の冬は「日本のひなた」と呼ばれるほど日照時間が長く、昼間はポカポカと暖かい日が多いのが特徴です。

 

しかし、その反面、夜間から朝方にかけては放射冷却現象によって急激に冷え込みます。

 

晴れているのに家の中が寒い、暖房が効きにくいと感じる場合、せっかくの昼間の暖かさを夜まで維持できていないか、冷気の侵入を許している可能性が高いと言えます。

 

この寒暖差に対応し、快適な室温を保つためには、熱の出入り口を塞ぐ「断熱」と、室内の温度ムラをなくす「気流のコントロール」が解決の鍵となります。

 

 窓の断熱リフォームと内窓の設置

住宅の中で最も熱が逃げていく場所は「窓」です。

 

環境省の資料によると、冬の暖房時に家から流出する熱のうち、約58%が窓などの開口部から逃げているとされています。

 

壁や屋根に比べて断熱性能が低い窓を強化することが、宮﨑県の注文住宅における寒さ対策の最優先事項です。

 

最も効果的なのは、既存の窓の内側にもう一つ窓を取り付ける「内窓(二重窓)」の設置です。窓と窓の間に空気の層ができることで断熱性が飛躍的に向上し、外気の影響を受けにくくなります。

 

また、サッシをアルミから樹脂製に変えるだけでも、熱の伝わりやすさは1000分の1程度まで抑えられます。

 

宮﨑県特有の日射量の多さを活かすなら、ガラスの選び方も重要です。

 

南側の窓には太陽の熱を積極的に取り込む「日射取得型」の複層ガラスを採用し、北側や西側には熱を逃がさない「断熱型」を採用するなど、方角によってガラスを使い分けることで、自然エネルギーを効率よく暖房に利用できます。

 

詳しくは環境省のCOOL CHOICE(住宅の断熱)などの公的な情報も参考にしながら、補助金を活用したリフォームを検討することをおすすめします。

 

 適切な暖房器具の配置とサーキュレーター活用

断熱性を高めても、「足元だけが寒い」という現象が起きることがあります。

 

これは、冷やされた空気が重くなって床付近に溜まり、暖められた空気が天井付近に滞留するために起こります。

 

特に窓辺で冷やされた空気が下降気流となって床を這う現象は「コールドドラフト」と呼ばれ、体感温度を著しく下げる原因となります。

 

この問題を解決するには、以下の2つのアプローチが有効です。

 

  • 窓際に暖房器具を配置する: パネルヒーターやオイルヒーターなどを窓の下に設置することで、上昇気流を作り出し、コールドドラフトの発生を元から防ぎます。

 

  • サーキュレーターで空気を攪拌(かくはん)する: 暖かい空気は上に溜まる性質があるため、サーキュレーターを天井に向けて回し、空気を循環させます。エアコンを使用する場合は、エアコンの対角線上にサーキュレーターを置き、エアコンに向けて風を送ると効率よく部屋全体が暖まります。

 

 DIYでできる簡易的な寒さ対策

本格的なリフォームが難しい場合や、今すぐ寒さを和らげたい場合には、ホームセンターなどで手に入るグッズを使ったDIY対策も有効です。

 

特に宮﨑県のような比較的温暖な地域では、少しの工夫で体感温度が大きく変わることもあります。

 

主なDIY対策とその特徴を以下の表にまとめました。

 

DIYでできる寒さ対策の比較
対策方法 期待できる効果 難易度 コスト
窓用断熱シートの貼付 ガラス面からの熱伝導を抑制し、結露も防止する。プチプチタイプ(気泡緩衝材)などが一般的。
隙間テープの活用 サッシやドアの隙間風を防ぐ。築年数が経過した住宅で特に効果が高い。
厚手・長めのカーテンへの交換 床まで届く長さのカーテンにすることで、窓からの冷気が床に流れるのを遮断する。
断熱ボードの設置 窓の下半分に立てかけることで、コールドドラフトを物理的にブロックする。

これらの対策は単独で行うよりも、例えば「断熱シートを貼りつつ、厚手のカーテンを閉める」といったように組み合わせることで、より高い効果を発揮します。

 

まずは手軽なDIYから始め、それでも寒さが解消されない場合に内窓の設置などを検討すると良いでしょう。

 

 失敗しない宮﨑県注文住宅のための業者選び

宮﨑県で注文住宅を建てる際、多くの人が南国特有の温暖な気候をイメージして、冬の寒さ対策を後回しにしがちです。

 

しかし、晴れた日の放射冷却による底冷えや、山沿いの冷え込みに対応できない家を建ててしまい、入居後に後悔するケースは少なくありません。

 

「晴れているのに家の中が寒い」という失敗を避けるためには、宮﨑の気候特性を深く理解し、それに対応できる技術力を持った業者を選ぶことが不可欠です。

 

デザインや価格だけでなく、快適な温熱環境を実現できるパートナーを見極めるためのポイントを解説します。

 

 高気密高断熱の実績がある工務店を探す

「宮崎は暖かいから、そこまでの断熱性能は必要ない」と説明する営業担当者には注意が必要です。

 

冬の快適性を確保し、暖房効率を高めて光熱費を抑えるためには、宮﨑県であっても高気密・高断熱の施工実績が豊富な工務店やハウスメーカーを選ぶべきです。

 

業者の実力を測る客観的な指標として、以下の2つの数値を確認することをおすすめします。

 

 数値で性能を証明できる会社を選ぶ(UA値・C値)

住宅の性能は感覚ではなく、数値で判断することが重要です。

 

特に注目すべきは、断熱性能を表す「UA値(外皮平均熱貫流率)」と、気密性能を表す「C値(相当隙間面積)」です。

 

UA値は数値が小さいほど熱が逃げにくく、C値は数値が小さいほど隙間が少ないことを示します。

 

宮﨑県(主に省エネ基準地域区分の6地域・7地域)において、冬も暖かく快適に過ごすために推奨される基準は以下の通りです。

 

基準のレベル UA値の目安(6地域) 快適性の期待度
省エネ基準(等級4) 0.87以下 最低限の基準。冬は寒さを感じやすい。
ZEH基準(等級5) 0.60以下 一般的な高断熱住宅。部分的に寒さを感じる場合がある。
HEAT20 G2(等級6) 0.46以下 冬も暖房1台で快適に過ごせるレベル。推奨ライン。

契約前に「貴社の標準仕様のUA値とC値はどのくらいですか?」と質問し、明確な回答と気密測定の実施を約束してくれる業者であれば、信頼性が高いと言えます。

 

特にC値は現場の施工精度に左右されるため、全棟で気密測定を行っている会社を選ぶのがベストです。

 

 パッシブデザインを取り入れた設計の重要性

高気密高断熱という「器」の性能を高めることと同時に重要なのが、自然エネルギーを最大限に活用する「パッシブデザイン」の設計力です。

 

宮﨑県は全国的に見ても日照時間が長く、快晴の日が多い地域です。この地域特性を活かさない手はありません。

 

 宮崎の豊富な日射量を熱エネルギーに変える設計力

冬の晴れた日、宮﨑の日差しは強力な天然の暖房器具になります。

 

パッシブデザインに優れた設計者は、南面の窓を大きく取り、昼間の太陽熱(日射熱)を室内にたっぷりと取り込む「日射取得」を計画します。

 

取り込んだ熱を逃がさない高い断熱性能と組み合わせることで、日中は暖房がいらないほどの暖かさを実現できます。

 

一方で、夏の日差し対策も忘れてはいけません。

 

冬に暖かい家は、夏に暑くなりすぎるリスクもあります。そのため、以下のような設計上の工夫が提案できる業者を選びましょう。

 

  • 深い軒(のき)や庇(ひさし): 夏の高い位置からの日差しを遮り、冬の低い位置からの日差しだけを取り込む。

 

  • アウターシェードや外付けブラインド: 窓の外側で日射を遮蔽し、室温上昇を防ぐ。

 

  • 通風計画: 中間期に風が通り抜ける窓の配置。

 

単に窓を大きくするだけでなく、季節ごとの太陽の動きを計算し、シミュレーションを行った上で間取りを提案してくれる設計事務所や工務店であれば、宮﨑の気候にマッチした「夏涼しく冬暖かい家」を実現してくれるでしょう。

 

 まとめ

宮崎県は「南国」という温暖なイメージが強い一方で、冬場は晴天率が高いからこそ発生する「放射冷却現象」により、朝晩の冷え込みが厳しくなる地域です。

 

晴れているのに家の中が寒いと感じる主な理由は、この急激な外気温の低下に対し、住宅の気密性や断熱性が十分に機能していないことにあります。

 

特に、熱の出入りが最も多い「窓」の断熱性能不足や、冷気が床を這うコールドドラフト現象は、体感温度を著しく下げる原因となります。

 

現在お住まいの家が寒い場合は、内窓(二重窓)の設置や断熱リフォームを行うこと、またサーキュレーターを活用して暖房効率を上げることが効果的な解決策となります。

 

 

これから宮崎県で注文住宅を建てる方は、温暖な気候を過信せず、冬の寒さ対策もしっかりと考慮した設計が必要です。

 

高気密・高断熱な家づくりに実績のある工務店やハウスメーカーを選び、日射取得を計算したパッシブデザインなどを取り入れることで、一年を通して快適で健康的な住まいを実現してください。