【注文住宅】土地探しの注意点!ブロックを高く積んでいる土地は建築許可が下りない危険なケース
2026年01月19日
注文住宅の土地探しで、隣地との境界に高く積まれたブロック塀がある物件を見つけた際は注意が必要です。
実は、土留めとして使われているコンクリートブロックの多くは現在の建築基準法に適合しておらず、安全性が証明できないため建築許可が下りないリスクがあります。
本記事では、ブロック塀が原因で建築確認申請が通らない法的理由や、避けるべき危険な塀の特徴、さらに既存擁壁のやり直し工事にかかる費用相場まで徹底解説します。
土地購入後に想定外の出費で後悔しないよう、契約前に知っておくべき重要ポイントを確認しましょう。

ブロックを高く積んでいる土地で建築許可が下りない理由
注文住宅を建てるための土地探しにおいて、隣地との境界や道路沿いに「背の高いブロック塀」が存在するケースは少なくありません。
しかし、一見すると頑丈そうに見えるそのブロック塀が原因で、肝心の住宅の建築許可(建築確認済証)が下りないというトラブルが多発しています。
その最大の理由は、「現在の建築基準法に適合していない」、または「安全性が公的に証明できない」と判断されるためです。
特に、本来は土砂崩れを防ぐための「擁壁(ようへき)」として作られるべき場所を、安価なコンクリートブロックで代用しているケースは非常に危険視されます。
建築基準法における擁壁とコンクリートブロックの違い
まず理解しておかなければならないのは、建築基準法において「擁壁」と「コンクリートブロック塀(組積造や補強コンクリートブロック造)」は、その目的と構造上の扱いが明確に異なるという点です。
一般的な空洞コンクリートブロックは、あくまで「塀(フェンス)」として、目隠しや境界明示のために設置されることを想定しています。
これらは横からの風圧にはある程度耐えられますが、内側からの「土圧(土が崩れようとする力)」に耐える構造にはなっていません。
高低差のある土地で、高い位置にある土が崩れないように支える構造物は「擁壁」でなければならず、鉄筋コンクリート造(RC造)や間知ブロック積みなどが用いられます。
これを一般的なブロック積みで済ませている場合、それは「違法な擁壁」とみなされ、その上に家を建てることは許可されません。
| 項目 | 擁壁(RC造・間知石など) | コンクリートブロック塀 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 高低差のある土地の土留め(土砂崩壊の防止) | 敷地境界の明示、目隠し、防犯 |
| 土圧への耐性 | あり(構造計算により安全性を確保) | なし(土留めとしての使用は原則禁止) |
| 建築確認申請 | 高さ2mを超える場合は工作物の確認申請が必要 | 原則として塀単体では不要(高さなどの規定はある) |
高さのあるブロック塀が満たすべき法的基準
土留めとしてではなく、平坦な土地に建つ単なる「塀」としてブロックが高く積まれている場合でも、建築基準法施工令第62条の8に基づく厳しい基準を満たしていなければなりません。
過去の地震による倒壊事故を受け、ブロック塀の高さや構造には以下のような制限が設けられています。
- 高さの制限:補強コンクリートブロック造の場合、高さは2.2m以下でなければなりません。
- 壁の厚さ:高さ2m以下の場合は10cm以上、2mを超える場合は15cm以上の厚さが必要です。
- 控え壁の設置:高さが1.2mを超える場合、塀の長さ3.4m以下ごとに、塀の高さの1/5以上突出した「控え壁(ひかえかべ)」を設置する義務があります。
- 鉄筋の配置:縦横に80cm以下の間隔で直径9mm以上の鉄筋を配置し、基礎に定着させる必要があります。
古い分譲地などでは、これらの基準が強化される前に作られたブロック塀が多く残っています。
特に「高さが1.2mを超えているのに控え壁がない」というケースは非常に多く、これらは「既存不適格」または単なる「違反建築物」として扱われます。
詳細な基準については、国土交通省が提供しているガイドラインや法令データ等で確認することができます。
安全性が証明できないと建築確認申請が通らない
注文住宅を建てる際には、着工前に役所や指定確認検査機関へ「建築確認申請」を提出し、計画が法令に適合しているか審査を受ける必要があります。
この際、敷地内や敷地境界に「高さのあるブロック塀」や「不適切な擁壁」が存在すると、審査機関から「この塀は地震時に倒壊する恐れがあるため、安全性を証明するか、撤去・改修してください」という指摘が入ります。
特に問題となるのが、がけ条例(崖条例)にかかるような高低差がある土地です。
既存の土留めブロックに対して「検査済証」などの公的な書類が残っていない場合、現状の安全性を証明するために多額の費用をかけて構造計算をし直すか、あるいは安全性が担保できないとして「再構築」を余儀なくされます。
建築士は建築主の安全を守る責任があるため、安全性が不明確なブロック塀が放置された状態での建築計画には判を押せません。
その結果、ブロック塀の問題が解決するまで建築許可が一切下りないという事態に陥るのです。
注文住宅の土地探しで避けるべき危険なブロック塀の特徴
注文住宅を建てるための土地探しでは、立地や価格だけでなく、敷地の境界にある「ブロック塀」の状態を詳しくチェックすることが極めて重要です。
一見すると問題なさそうに見えるブロック塀でも、建築基準法に適合していない「違反建築物」や「既存不適格建築物」であるケースが少なくありません。
特に、土地の高低差を処理するためにブロック塀が使われている場合や、古い塀がそのまま残っている場合は注意が必要です。
こうした土地を購入してしまうと、建築確認申請が通らず、建物を建てる前に追加で数百万円規模の解体・擁壁工事費用が発生するリスクがあります。
ここでは、具体的に避けるべき危険なブロック塀の特徴を解説します。
土留めとしてブロックを高く積んでいるケース
最も注意が必要なのは、敷地に高低差がある場合において、土の崩れを防ぐための「土留め(どどめ)」として一般的なコンクリートブロックが使われているケースです。
本来、高低差のある土地の斜面を支えるためには、鉄筋コンクリート造の「擁壁(ようへき)」や、土留め専用の「型枠ブロック」など、土圧(土の重さによる圧力)に耐えられる構造物を設置しなければなりません。
一般的な空洞コンクリートブロックは、あくまで目隠しや境界を示すフェンスとしての利用を想定しており、横からの強い土圧に耐える構造にはなっていません。
そのため、土留めとしてブロックが高く積まれている土地は、地震や大雨の際に崩壊する危険性が高く、建築確認申請においても安全性が認められない可能性が極めて高いです。
見た目では綺麗に積まれていても、水抜き穴が適切に設置されていない場合や、ブロックの表面に亀裂が入っている場合は、内部で土圧による負荷がかかっている証拠であり、避けるべき土地の筆頭と言えます。
増し積みされており一体化していないブロック塀
「増し積み(ましづみ)」とは、既存の古いブロック塀の上に、新しいブロックを継ぎ足して高さを上げている状態を指します。
土地の境界にある塀などでよく見られますが、これは構造的に非常に危険な状態です。
ブロック塀の強度を保つためには、基礎から最上部まで鉄筋が連続して通っている必要がありますが、増し積みされた塀の多くは、新旧のブロック間で鉄筋がつながっていません。
鉄筋が連結されていないため、地震の揺れなどで水平方向の力が加わると、継ぎ目の部分から簡単に折れて倒壊するリスクがあります。
現地を見学する際は、塀の下部と上部でブロックの色や風化の度合いが違っていないか、あるいは目地(ブロック同士のつなぎ目)が不自然に途切れていないかを確認してください。
増し積みされた塀がある場合、安全性を証明することは難しく、基本的には解体して作り直す必要があると判断されます。
控え壁が設置されていない高さのある塀
建築基準法施行令では、高さ1.2メートルを超えるブロック塀を設置する場合、塀の長さ3.4メートル以下ごとに「控え壁(ひかえかべ)」を設置することが義務付けられています。
控え壁とは、塀に対して直角に突き出す形で設けられた支えの壁のことで、地震時などの転倒を防ぐ重要な役割を果たしています。
古いブロック塀の中には、高さが1.2メートルを超えているにもかかわらず、この控え壁が設置されていないものが多く存在します。
特に隣地との境界に塀がある場合、自分の敷地側からは平らに見えても、隣地側に控え壁がないケースや、逆に隣地側にはあっても強度が不足しているケースがあります。
控え壁がない高さのある塀は、現在の耐震基準を満たしていないため、倒壊のリスクがあるだけでなく、建築確認申請時の是正対象となることが一般的です。
| 危険な特徴 | 主なリスクと問題点 | 現地でのチェックポイント |
|---|---|---|
| 土留め利用のブロック | 土圧による倒壊、建築不可 | 地面の高さが塀の左右で違う、水抜き穴がない |
| 増し積みブロック | 地震時の継ぎ目からの崩壊 | 上下でブロックの色や古さが違う、目地が不連続 |
| 控え壁がない(高さ1.2m超) | 転倒防止策の欠如、法令違反 | 3.4mごとに支えの壁があるか、塀の裏側も確認 |
| 傾きやひび割れ | 基礎沈下、鉄筋の腐食 | 目視で垂直を確認、大きな亀裂や錆汁の有無 |
これらの危険なブロック塀については、国土交通省も安全点検のチェックポイントを公開して注意を喚起しています。
土地購入の契約前に、これらの基準に照らし合わせて現状を確認することが、将来的なトラブルや余計な出費を防ぐことにつながります。
建築許可が下りない土地を購入した場合の対策と費用
気に入った土地が「ブロック塀の高さや構造の問題」で建築許可が下りない場合でも、すぐさま購入を諦める必要はありません。
適切な対策工事を行えば、安全基準を満たして家を建てることが可能です。
ただし、その対策には相応の「費用」と「時間」がかかります。土地の価格が安くても、造成工事費を含めると予算オーバーになるケースも少なくありません。
ここでは、具体的な対策工事の内容と費用の目安、そして契約前に知っておくべき交渉術について解説します。
既存のブロック塀を解体して作り直す擁壁工事
建築基準法に適合しないブロック塀(土留めとして使われているブロックや、高さがありすぎるブロック塀など)がある場合、基本的には一度すべて解体し、安全な「擁壁(ようへき)」に作り直す必要があります。
単に新しいブロックを積み直せば良いわけではありません。土留め(土の圧力を支える壁)としての機能を持たせるためには、鉄筋コンクリート造(RC造)の擁壁を新設するのが一般的です。
高さ2mを超える場合は工作物確認申請が必要
新たに作る擁壁の高さが2mを超える場合、建築確認申請とは別に「工作物確認申請」が必要になります。
これは、擁壁の構造計算を行い、行政の許可を得る手続きです。
設計や申請にかかる期間(数週間〜1ヶ月程度)も考慮しておく必要があります。
擁壁を作らない「法面(のりめん)処理」という選択肢
費用を抑える方法として、擁壁を作らずに土を斜めに削る「法面処理」という手法があります。
土が崩れない角度(安息角)まで斜面を緩やかにする方法ですが、平らな敷地面積(有効宅地面積)が減ってしまうデメリットがあります。
敷地に十分な広さがある場合にのみ検討できる対策です。
擁壁のやり直し工事にかかる費用の目安
擁壁のやり直し工事は、既存の塀の解体費用と、新しい擁壁の新設費用の合計となります。
敷地の条件(重機が入るかどうか、道路の幅など)によって金額は大きく変動しますが、一般的な相場を知っておくことは重要です。
以下は、高さ2m、長さ10m(面積20㎡)の擁壁工事を行う場合の概算費用です。
| 工事項目 | 費用の目安(単価) | 備考 |
|---|---|---|
| 既存ブロック解体・撤去費 | 5,000円〜15,000円 / ㎡ | 鉄筋の有無や基礎の大きさにより変動。廃材処分費含む。 |
| 擁壁新設工事費(RC造) | 50,000円〜100,000円 / ㎡ | 型枠、鉄筋、コンクリート打設費用。高さがあるほど単価は上がる。 |
| 地盤改良・基礎工事費 | 30万円〜100万円 / 一式 | 擁壁を支える地盤が弱い場合に必要。 |
| 諸経費・申請費 | 20万円〜50万円 / 一式 | 重機回送費、仮設工事、工作物確認申請手数料など。 |
例えば、上記の条件で計算すると、総額で150万円〜300万円以上かかる可能性があります。
もし敷地が狭く重機が入らない場合は、すべて手作業となるため人件費が跳ね上がり、費用が1.5倍〜2倍になることも珍しくありません。
正確な金額を知るためには、購入前に必ず建築会社や造成業者に現地を見てもらい、見積もりを取ることが不可欠です。
土地の契約前に売主と交渉すべき条件
多額の対策費用がかかることが判明した場合、そのままの条件で土地を契約するのはリスクが高すぎます。
契約を結ぶ前に、売主や不動産会社と以下の条件について交渉しましょう。
費用分の値引き交渉
建築に必須となる擁壁工事の費用分を、土地の売買価格から差し引いてもらえないか交渉します。
「この工事をしないと家が建てられない土地である」という客観的な見積もりを提示することで、交渉がスムーズに進む場合があります。
「更地渡し」または「適合証明渡し」の条件追加
買主が工事を行うのではなく、売主の負担と責任で、既存のブロック塀を撤去(更地渡し)してもらう、あるいは適法な擁壁にやり直してから引き渡してもらう条件を提示します。
これにより、予期せぬ追加費用のリスクを避けることができます。
「停止条件付契約」の締結
もし現状のままで契約する場合でも、「万が一、建築許可や工作物の確認済証が下りなかった場合は、契約を白紙に戻して手付金を全額返還する」という特約(停止条件)を必ず契約書に盛り込みましょう。
これにより、「土地を買ったけれど家が建てられない」という最悪の事態を防げます。
また、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)についても、擁壁の不具合を免責(責任を問わない)とする特約が付けられていないか、契約書をよく確認することが重要です。
まとめ
注文住宅の土地探しにおいて、土留めとして高く積まれたコンクリートブロックがある土地は要注意です。
これらは建築基準法の安全基準を満たさないケースが多く、そのままでは建築確認申請が通らず、建築許可が下りないリスクがあります。
もし購入後に問題が発覚すると、既存ブロックの解体や正規の擁壁工事に数百万円規模の追加費用が発生し、資金計画が大きく崩れてしまいます。
後悔しない家づくりのために、契約前に必ず建築士などの専門家に現地調査を依頼し、安全性の確認や是正費用の見積もりを行った上で慎重に判断しましょう。


