スタール・ハウス 建築家ピエール・コーニックカルフォルニア ロサンゼルス
数多くのファッション誌、映画、広告のロケ地として使用され過去には1500万ドルで買い取りたいと申し出があったほど有名な個人所有の家でもある。
撮影:佐藤建設株式会社 佐藤光輝





















🌇 海外視察レポート|Stahl House(ロサンゼルス) — “開放と構造美”が紡ぐモダン住宅の名作
① 建物概要/背景
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Stahl House は、1959〜1960年にかけて設計・施工された住宅で、Case Study House プログラム(戦後の住宅不足を受け、モダンで合理的な住宅スタイルを提案する実験的住宅シリーズ)の一つとして建てられました。ウィキペディア+2ウィキペディア+2
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設計者は Pierre Koenig。崖のような急勾配の敷地を活かし、鉄骨構造+大きなガラス壁という斬新な建築で、「建てにくい土地=チャンス」に変えた挑戦的な住宅です。ウィキペディア+2architectmagazine.com+2
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建築当時の建設費は約 3万4,000ドル、プールの建設費は約 3,651ドルだったという記録があります。ウィキペディア+1
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鉄骨とガラスの構造により、室内からはロサンゼルスの街並みと夜景を270度近く見渡すことができ、その大胆なフォルムと抜群の眺望によって、世界的なモダン住宅の代表作となりました。ウィキペディア+2トリップアドバイザー+2
② 見どころ・建築的魅力
■ 鉄骨+全面ガラスによる透明性と構造の美
Stahl House の最大の特徴は、鉄骨構造と床〜天井までのガラス壁を用いた「透明な箱」。これにより、崖上の立地の景色を取り込みつつ、住まいを軽やかに感じさせる設計がなされています。ウィキペディア+2latimes.com+2
構造がそのままデザインとして現れており、「建物=構造体」という近代建築の思想が明確に表現されています。d-sym.jp+2QOCA Architecture Office+2
■ 崖地を活かした立地と眺望、プールと屋外スペースの構成
ロサンゼルスの丘 (Hollywood Hills) の崖上に建つことで、眼下に広がる街並みや夜景をパノラマで望むことができます。特に夜、室内の光とガラス越しに見える街の灯りは、「住まい=風景を切り取る装置」としての住宅の可能性を感じさせます。ウィキペディア+2トリップアドバイザー+2
また、プールやテラス、屋外空間を含めた設計により、「屋内 ⇔ 屋外」の境界があいまいな、開放的でリゾート的な住空間が成立しています。ウィキペディア+2アメーバブログ(アメブロ)+2
■ 当時の住宅設計としての大胆な実験性 — “難地 × 近代技術 × 生活” の融合
Case Study House プログラムの一環として、急勾配地・鉄骨・ガラスといった「当時としては前衛的・実験的」な条件を取り入れて実現した住宅。これにより、従来の木造箱型住宅では叶えられなかった「眺望」「開放感」「構造美」を兼ね備える住宅のモデルケースとなりました。建築写真ブログ+2ウィクペディア+2
③ 私たち(佐藤建設)にとっての学びと応用アイデア
■ “構造をデザインとする”設計アプローチ
鉄骨構造やガラス壁をあえて見せる設計は、構造を隠さずに“魅せる”という発想。これを取り入れれば、素材感や構造の美しさが際立つ家づくりが可能です。例えば、無垢材の梁や鉄骨、柱をあえて表に出し、住宅に構造的な厚みと表情を持たせることができます。
■ 敷地のポテンシャルを最大化する設計思想
たとえ斜面・起伏のある土地でも、躊躇せず“敷地の個性”として捉える — 崖上、傾斜地、高低差を活かした設計は、眺望・採光・通風・プライバシーなど多くのメリットを生み出します。
■ 室内外をつなげる“開放性”と“環境との一体感”
プール、テラス、大開口、外部景観……住まいに“そこにいるだけで風景と一体になる”ような設計要素を取り入れることで、住宅を単なる居住スペースから“暮らしの舞台”に変えることができます。
■ 住まいにおける“タイムレスなモダン”の価値
1950〜60年代のモダン建築であっても、構造・素材・光・風景などがしっかり設計されていれば、50年・100年経っても強く魅力を放つ ― その普遍性を学べます。住宅設計のトレンドを超えて、長く価値を保つ住まいづくりに活かせます。
📝 まとめ
Stahl House は、「構造」「立地」「素材」「光」「風景」が一体となって設計された “住まいの実験場” であり、その挑戦と成果は今なお色あせません。
私たち 佐藤建設は、このような建築から得たインスピレーションを、宮崎の気候・風土・敷地状況にあわせて翻訳し、
「構造と景観、素材と開放感を調和させた新しい住まい」
をお客様に提案できるよう、設計に取り入れてまいります。