ブラッドベリー・ビル 視察ロサンゼルス ダウンタウン
撮影:佐藤建設株式会社 佐藤光輝













① 建物概要 — 歴史と背景
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Bradbury Building は、1893年に竣工したロサンゼルス中心部の商業ビル。都市中心で現存する歴史的建造物としては最古クラスのビルのひとつです。ウィキペディア+2LA Conservancy+2
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建設を依頼したのは金鉱業と不動産で財を成した実業家 Lewis L. Bradbury。設計は当初別の建築家に依頼されたものの、最終的には若きドラフトマンだった George H. Wyman が監督し、現在に残るデザインを完成させました。SAH ARCHIPEDIA+2pcad.lib.washington.edu+2
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建築スタイルとしては、外観にローマネスク/イタリアン・ルネッサンスの影響が見られつつ、内部は19世紀末から20世紀初頭の鉄骨・ガラス建築の先駆的構造を採用。全 5 階の吹き抜けアトリウムを中心に構成されています。ウィキペディア+2The Library of Congress+2
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歴史的価値から、1971年にアメリカの国家歴史登録財に、1977年には国定歴史建造物(National Historic Landmark)にも指定されています。ウィキペディア+1
② 建築としての見どころ — 内部空間と構造の独自性
🌤️ 光と空間が生む幻想的なアトリウム
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建物中央には大きな天窓付きのアトリウムが広がっており、5階まで吹き抜け。そこに自然光が降り注ぎ、鉄骨やガラス、アイアンワークの手すり、メタルの「ケージ式エレベーター」、大理石の階段などが織りなす空間は、まさに「光の宮殿」と呼ぶにふさわしい荘厳さ。LA Conservancy+2The Library of Congress+2
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開放的な内部空間と、装飾が施されたメタルワーク・アイアンの手すり・オープンエレベーターなどは、どこか「機能美と装飾美の融合」を感じさせ、訪れた者に強い印象を残します。Audiala: Your Pocket Tour Guide+2R / D+2
🏙️ 外観とのギャップ — 内部を知ってこそ映えるデザイン
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外から見ると、ごく普通の重厚なレンガとテラコッタによるビル。ローマネスク/ルネッサンス調の穏やかなファサードは、いわば「予備知識なしには通りすぎてしまう」ほど控えめです。SAH ARCHIPEDIA+2Condé Nast Traveler+2
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しかし一歩中に入ると、外観の印象を覆すような開放性・透明性・構造の凝縮されたデザインが展開されており、「街に溶け込むファサード × 内部に広がる別世界」というコントラストが、この建物の最大の魅力になっています。
🎬 過去と現在をつなぐ「文化遺産かつ現役建築」
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映画 Blade Runner をはじめ、多くの映画・ドラマ・映像作品の撮影に使われてきたことでも有名で、ヴィンテージかつ近未来感を併せ持った「時代を超えた空間」として世界中に知られています。LA Conservancy+2トラベルコ+2
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また、1990年代に大規模な改修・耐震補強が行われ、現在もオフィスビルとして利用されているなど、「古さ」と「使いやすさ」のバランスがうまく保たれている点も、保存建築として学ぶべき価値があります。Spectra Company+1
③ 私たち(佐藤建設)にとっての学び — 設計・住宅提案への応用
この Bradbury Building の視察から、私たちが得た気づきと今後の家づくりへの示唆は以下のとおりです:
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「控えめな外観 × 内部の豊かさ」
外構や外観は周囲の風景に馴染ませつつ、中に入ると光と素材、構造で豊かな空間を得る設計。住宅においても、周囲の景観や環境を尊重しつつ、内部に「特別感」「豊かさ」「時間の深み」を込める設計が可能。 -
光・素材・構造の融合 — 空間の質を高める設計
天窓からの光、鉄骨とガラス、アイアンワーク、大理石など複数素材の組み合わせ。これらを意図的に設計に取り込むことで、住まいの空気感、重厚感、時間の流れをつくることができる。 -
歴史性・文化性を意識した住まいの提案
古い建築の持つ“時間の重み”や“文化の記憶”を取り入れることで、単なる新築住宅では得られない「住む人の誇り」「物語を感じる家」が生まれる。 -
機能性とドラマ性の両立
単なる機能や居住性だけではなく、訪れる人や住む人が「この空間に来てよかった」と感じるような“体験のある住宅”の設計 — 日常の中に“非日常の余白”を作ることの大切さ。
📝 まとめ
Bradbury Building は、ただ古いだけの建物ではなく、構造と美、過去と現在、実用と幻想が同居する「生きた建築」 です。
私たち 佐藤建設としても、今回の視察を通じて得た“光 × 素材 × 時代の重み”という価値観を、宮崎やこれからの住まいづくりに活かし、単なる住宅ではなく、「時間と記憶を刻む家」を目指してまいります。