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世界展示会 工場視察

パッシブハウス研究所セミナードイツ ダルムシュタット

厳しい基準をクリアしたドイツ発祥の省エネ住宅で、日本の次世代省エネ基準の約3倍の性能値を持ちます。 断熱強化と熱交換換気システムでしっかりとした器をつくり、パッシブ手法も取り入れ住宅設備をシンプルにし、 CO2発生を抑える住宅として高く評価されています。一般庶民も購入可能な価格でドイツ・オーストリアで 大きく普及し、EU全体の省エネ住宅基準として採用されています。
”パッシブハウス” と ”パッシブ(日本で言われる)” とは意味合いが異なり、日本でいう”パッシブ”とは 手法の総称で、自然エネルギーを受動的(パッシブ)に利用するという意味です。”パッシブハウス”とは
パッシブ手法も利用し、厳しい省エネ基準をパスした住宅の固有名詞です。

撮影:佐藤建設株式会社 佐藤光輝

海外視察レポート|Passive House Institute(ドイツ・ダルムシュタット)でのセミナー参加


① Passive House Institute とは

  • Passive House Institute(PHI)は、1996年に設立された国際的な省エネルギー建築の研究機関で、いわゆる Passive House(パッシブハウス)基準の提唱・普及を担ってきました。passiv.de+1

  • Passive House は、断熱性・気密性・熱橋対策・高性能窓・熱交換換気などを総合的に設計し、可能な限り冷暖房に頼らずに快適な室内環境を保つ「建物性能の国際基準」です。ウィキペディア+2passiv.de+2

  • PHI は、こうした設計思想や技術の普及を目的とし、世界中の設計者・建築関係者に対してセミナーや講習、認証制度、研究成果の公開などを行っています。passiv.de+1


② セミナーの目的と内容

今回参加したセミナーの主な目的は以下の通りです:

  • パッシブハウスの理論および実践を構造・断熱・気密・換気・エネルギー収支など多方面から学ぶ。

  • 実際に PHI が関わった建物の事例紹介、性能実測値、施工・設計上の注意点、設計ツール(PHPP:Passive House Planning Package)などを学習。パッシブハウス・ジャパン+2passipedia.org+2

  • ドイツ(特にダルムシュタット)という、パッシブハウス発祥の地でのリアルな建築・気候条件に即した設計知識の習得。

セミナーでは座学だけでなく、実際の建物を例にした性能データの提示、断熱・気密・換気・設計手法の解説など、理論と実践を結びつけた内容が多く含まれていました。


③ Passive House の基本理念・技術基準 — セミナーで再確認したこと

セミナーおよび PHI の資料を通じてあらためて確認された、Passive House の重要な基本要素は以下です:

  • 外皮の断熱と気密:壁・屋根・床など建物全体を高断熱で包み、熱の漏れを防ぐこと。熱橋(熱の逃げやすい構造的弱点)をなくすディテール設計。サイエンスダイレクト+2大阪で注文住宅なら高気密高断熱専門工務店アティックワークス+2

  • 高性能窓・サッシ:複層または三重ガラス、断熱フレーム、適切な窓配置で、外気との熱交換を抑制。ウィキペディア+1

  • 熱回収換気システム:室内の空気を常に換気しつつ、排気の熱を有効利用して室温を維持。これにより、省エネと快適な室内環境を両立。passiv.de+1

  • 建物全体の性能設計(エネルギー収支設計):設計段階からエネルギーの使われ方を想定し、「弱さのない外皮 + 機械設備 + 建物形状 + 方位/日射配慮」で快適性と省エネを成立させる。PHI が開発した設計ツール PHPP がその設計を支える。パッシブハウス・ジャパン+2passipedia.org+2

  • 建物の目的を「省エネ」だけでなく「住まいの質・健康・快適性」として捉える全体設計アプローチ:Passive House は単なるエコ住宅ではなく、「少ないエネルギーで豊かに、健康に暮らすための住まい」の枠組み。ウィキペディア+2ahomez.net+2


④ 私たち(佐藤建設)としての学びと、今後の住宅設計への応用

このセミナーを通じて得た学びと、それをどのように私たちの設計・提案に活かせるかを整理します:

  • 断熱・気密・換気を基本性能とした家づくり:日本、特に宮崎のような地域でも、季節・気候差・湿気を考慮した「建物自体の性能」が快適さと省エネの鍵になると再認識。

  • 設計段階でのエネルギーシミュレーションと性能保証の導入:PHI の設計ツール PHPP のような手法で、建てる前から性能を数値で検証することで、施工後の満足度・信頼性を高める。

  • 長期的な住まいの価値と住環境の質の両立:冷暖房に頼らずとも快適な住まい、健康で空気質の良い住まい、将来にわたる光熱費の安定――これらを実現できる住宅として、お客様へ新しい提案が可能。

  • 複合用途・住宅タイプへの展開:一戸建てに限らず、集合住宅や公共施設、病院、学校など幅広い用途で Passive House の考え方を応用できる。セミナーで紹介されていた事例はそれを示していた。passiv.de+2passiv.de+2


📝 まとめ

ドイツ・ダルムシュタットでの Passive House Institute セミナーは、私たちにとって「これからの日本の住まいのあるべき姿」を考える貴重な機会でした。

Passive House が目指すのは、ただの“エコ住宅”ではなく、「少ないエネルギーで、快適・健康・持続可能な暮らし」を実現する建築基準であり、設計思想。

私たち 佐藤建設 は、この学びを宮崎の風土・気候・暮らしに合わせて翻訳し、「性能 × 快適性 × サスティナビリティ」 を兼ね備えた住まいを提案していきたいと思います。