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世界街並み視察

スタイル別 住宅 フランス移動フランス 

住宅街を散策中に撮影しました。

撮影:佐藤建設株式会社 佐藤光輝

海外視察レポート|散策しながらスタイル別の住宅を見学(フランス)

 


① 視察の背景と目的

 

今回は、フランス国内(パリ近郊・プロヴァンス地方・コート・ダジュールなど)を散策しながら住宅を観察した視察報告です。


単一の住宅だけを見るのではなく、地域ごと・スタイルごとの住宅デザインの違いや、風土・気候・街並みによる住まいのあり方の違いを実際に確認した体験となっています。

この視察では、住宅の外観・素材・配置・敷地との関係・屋外空間などを、歩きながら体感することを重視しました。


② パリ近郊の住宅 — 都市と住宅の距離感

 

🏙 密集する街並みと住宅スケール

 

パリ周辺では、歴史的建物の密集した街並みが中心ですが、郊外に行くと一戸建て住宅や集合住宅が見られます。

  • 集合住宅:外観は控えめながらも規則的な開口・バルコニー・軒先のデザインが整っている。

 

  • 一戸建て住宅:庭・駐車スペース・プライベートガーデンなどがありながら、道路との関係がきちんと整理されている。

 

  • 外壁素材:煉瓦、モルタル、塗り壁といった多様な仕上げが並び、素材感が街並みに溶け込む。

 

都市と住宅の距離感が近く、「道路→外構→住宅」までが一体として計画されていることが印象的でした。


③ プロヴァンスの住宅 — 風土を活かすスタイル

 

🌿 素朴でありながら素材の質感が高い

 

プロヴァンス地方で見られる住宅の多くは、石造り・漆喰・木製建具など自然素材を主体とし、周囲の風景との調和を重視したデザインです。

  • 石と漆喰の外壁:経年変化が建物に深みを与え、素材そのものが美しい。

 

  • 屋根形状:傾斜屋根が一般的で、古来からの気候対応を示す。

 

  • 窓・開口の配置:日差しと風をコントロールするため、適切な位置・大きさが配慮されている。

 

こうした住宅は、都市部のような道路・敷地の区画ではなく、敷地の形状・地形・環境を読みとって成り立っているのが大きな特徴です。


④ コート・ダジュール(南仏海岸)の住宅 — 眺望と開放性

 

🌊 海を望む高低差のある敷地利用

 

コート・ダジュール(ニース〜アンティーブ〜モナコ周辺)では、
海を望む勾配地の敷地に住宅が建てられており、

  • 眺望を最大限取り込む開口配置

 

  • テラス・バルコニーの充実

 

  • 屋外空間と室内空間の繋がり強化

 

といった設計が一般的です。

ここでは、
「住宅=室内空間」だけでなく「住宅+外部空間=暮らしの一部」
という広い視点が標準になっていました。


⑤ スタイル別住宅から学ぶ視点

 

以下は、フランス国内で見られた住宅のスタイル別傾向と、設計・提案への示唆です。

視点 気づき 設計へのヒント
都市部の住宅 住宅と街並みの関係が緊密 外構・ファサード・道路との距離感を意識
プロヴァンス郊外の住宅 素材の質感と環境との調和 素材選び・無垢感・周囲環境の読み
地中海沿岸の住宅 眺望・光・風を活かす テラス・大開口・屋外と室内の連続性
高低差のある敷地 立体的な住宅配置 段差を活かした動線・眺望の軸をつくる

⑥ 散策視察で感じたこと

この「歩きながら住宅を見る視察」は、単なる物件の比較ではなく、
“住宅がその土地の暮らしとどう関わっているか”
という視点を育ててくれました。

  • 材料や色が「気候・素材・歴史」を反映している

  • 敷地の形をそのまま住宅に取り込む発想

  • 外部空間と内部空間が繋がる暮らしの設計

といった点は、日本国内での設計や提案にも十分に応用できる視点です。


📝 まとめ

フランス国内の散策視察を通して、地域差・環境差が住宅デザインに与える影響を直に感じることができました。
それぞれの地域で

  • 気候

  • 歴史

  • 地形

  • 生活文化

が住宅の形・素材・配置・動線まで影響しており、これは住宅設計者として大きな学びになりました。

今後の設計・提案において、“その土地らしさ”を最優先にする視点を大切にしたい、と強く感じた視察でした。